腰の強い違和感にEFTを使う



このセッションは私が個人的に主催している専門家集団によるEFT研究会で行われました。

今まで何度か腰痛の方にEFTを行って痛みが解消されるという結果が出ていたので、
今回は整体師の立会いの下、身体の歪みがどうなっているかを調べながらEFTを行って
みました。



主訴:


腰の右側に強い違和感がある。5、6年前から、始まり、最初は月に1回ぐらい出ていたが、
多いときには週に1回ぐらい出るようになっていた。腰の違和感があると、やる気や元気が
なくなっていくことが多い。この違和感は、生活で無理が続いときによく起こる。


苦痛の大きさ(SUD):9.5


整体師による身体の歪みのチェック:

腰の位置を基点として右足が1センチぐらい短かった。右の脊柱起立筋(背中の筋肉)が
緊張して縮んでいた。

まず、からだの姿勢を変えてどんな姿勢で一番苦痛が感じられるかを探っていった。

その結果、右の腰をそらせて右手を腰に当てたときに一番苦痛を感じることがわかった。

その体勢で苦痛にどんな感覚があるか詳しく調べていくと、腰の右側が上下に突っ張って
いる感じ、やがて棒のようなものが腰の中にあって、両端がつっぱっているという感じが
わかってきた。

ぎゅーっとした不快感があって「いやだー」っていう言葉が出て来た。加えてこの不快感は
慢性的なものなので「どうせEFTをやっても変わらないんじゃないか」というセッションその
ものに対する不信感が出て来た。

そこでPR処理(無意識的な変化への抵抗を弱める手順)を行った。

「私は『この腰痛に対してEFTをやってもしょうがないんじゃないか』というふうに思っている
けれど、そんな自分を受け入れようと思う」というフレーズで行ったら、かなり軽くなりEFTの
セッションを続けてもいいかなという気になった。

まだセッションに対する不信感が残っていたが、その不信感や腰の違和感に意識を集中
させていると、急に五歳頃の記憶がよみがえってきて、これらがつながっていることに
気づいた。


記憶の場面:


親父とおふくろが、さっきまで仲良くしていたはずなのに、急に隣の部屋で夫婦喧嘩を
始めている。すごい喧嘩で、そのうち「てつおーてつおー」と親父が叫んでいる。

何かと思って隣の部屋に行ったら、親父がおふくろの上に馬乗りになって「包丁もってこーい」
と叫んでいる。おふくろは「持ってきたらいかんぞ、持ってきたらいかんぞ」と叫んだ。

それで頭が真っ白になって何が起こったのか良くわからなくなって、親父の叫び声だけが
頭の中に響いていた。その声に追い立てられるようにして、包丁を親父に渡してしまう。

でも心の中では持って行きたくないという自分がいて、固まっていた。

この記憶を思い出すと、「いやじゃー」「持っていったらだめだー」「持って行かないと怖い」
という言葉が出てきたので、そのままフレーズにしてタッピングをした。すると「またこの記憶
の場面かー無理だー」という思いが強く出て来た
(今までに他のセラピーで何度も取り扱っていたので)。


そこでPR処理(無意識的な変化への抵抗を弱める手順)を行う。


「『こんな同じようなセッションいいかげんにせえよ』と思っているけれど、こういった状況
全体をまずは受け止めていこうと思う」


すると、「いい加減にせえよ」という思いの矛先が両親に変わっていった。そして、
身体の右側は親父の言い分を持っていて「包丁、はよ持ってこんかい」、左側は
お袋の言い分「いかんぞー、いかんぞー」があって、この板ばさみが苦しいことに気づいた。

そのときに出て来た言葉「いい加減にせえよ」「勝手にせえ」「子どもに何やらせるんじゃー」
というフレーズでタッピングを行う。すると、最初は右足だけで立っている感じだったが、
段々まっすぐ立っている感じに変化していくことにクライエントが気づいた。


整体師のコメント:外側からの観察でも、右側が緊張していたのが、緩んできたのが
わかった。声質も変化し、高い音まで出るようになった。


この段階で苦痛の大きさ(SUD)は4になっていた。


記憶の中の五歳の自分が、今どんな状態か調べてもらうと、まだ固まっていることが
わかった。

そこで、今の大人の自分が、五歳の固まっている子どもの自分に何て言ってあげたい
かを尋ね、そこで出て来た言葉、「君が悪いんじゃないんだ」「大丈夫だよ」「ちゃんと
生きてきたよ」をフレーズにしてタッピングを行った。

すると固まっている感じがゆるんで、あったかい感じ、「自分は自分でいいんだ」という思い、

ほっとしている感じが出て来た。


苦痛の大きさ(SUD):0.5


まだ0になってはいないが、セッションを始めて1時間半以上経っていたのと、本人が満足
していたので、今回はここで終了することにした。

整体師による身体の再チェック:


最初は右足が1センチ短かったが、この段階で左右がそろっていた。右の脊柱起立筋
(背中の筋肉)がゆるんだものと思われる。本人も背中が柔らかくなってあったかさを
感じると言っていた。

その後、生活の中で右の腰の違和感は殆ど出なくなった。本人も、このセッションに
よって無理が続くことと腰の違和感の関係がわかったので、無理が続きそうになると
違和感が出る前に、それを自覚して行動を変えるようになった。

このセッションでは、本人にタッピングしてもらったので、セラピストはまったく身体に触れ
ていない。テーマは腰の違和感であったが、セッションの大半は感情的素材について
取り扱う流れになった。そして、身体の歪みと腰の違和感はほぼ解消された。

心と身体がつながっているということは理屈ではわかっているつもりであったが、
このような結果が出たことは、クライエントにとっても、整体師にとっても、私にとっても
驚きであった。




高牟禮 憲司

 



重要な注意:

EFT は臨床的にめざましい結果を生み出していますが、このテクニックはまだ実験段階
であることを考慮しなければなりません。
ですから、EFT を使用するプラクティショナや一般の人々は、このテクニックを使用する
ことについて自分自身で完全な責任をとらなければなりません。
さらに付け加えると、Gary Graig は医療に関する専門的な免許を持っていません。
彼は任命された牧師として、またパーソナルパフォーマンスコーチとしての立場から
EFT を提供しています。
特定の感情的問題、または身体的問題に EFT を用いることについて、医療分野の
専門家との話し合いを望まれる方は、http://www.emofree.com/ のプラクティショナ
紹介ページをご覧ください。

そこには、公的な資格をもった、あるいは公的な資格を持たないEFT プラクティショナ
がリストアップされています。
 

EFT をお使いになる方は必要に応じて、資格のある医師に相談してください。



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